日本クレアス税理士法人/株式会社コーポレート・アドバイザーズ代表の中村亨です。経営者として、また会計士としての日ごろの経験から、皆さんのビジネスやキャリアのヒントとなるようなトピックスをカジュアルにお伝えしていきます。今回のコラムでは不況をチャンスととらえて事業や戦略の構築に挑む際のポイントについて考えてみましょう。

皆さん、こんにちは。まずは与太話にお付き合いください。

元号が令和に変わり、明るく前向きな気持ちになった、と思ったら突然のコロナ禍。あらゆる産業が壊滅的なダメージを負いつつある「コロナ不況」待ったなしの現状です。

そういえば、私が20代の頃に「元号が変わると不況になる」という話を昔の上司から聞いたことがあります。平成不況、昭和恐慌、というのがありました。学生時代はバブルの時代でしたが、社会人になってから(会計士になってから)の20代は、まさに「平成不況」でした(住専問題に象徴される不良債権問題、山一証券倒産に象徴される金融不安、タイバーツ下落を端緒とするアジア通貨危機なんかが起こり、日経平均は毎年毎年、そして何度も何度も「年初来安値」を更新していました)。思い起こせば、暗い時代だったのもしれません、ちょうど1990年代は。(平成元年は1989年ですね)。この平成の時代のキーワードは「リストラ」でしたね。

昭和恐慌というのは、もちろん私は生まれていませんが…。大蔵大臣の失言をきっかけに全国で取り付け騒ぎが発生し、恐慌にまで発展したのが、昭和2年(1927年)の金融恐慌。それだけではなく、昭和4年(1929年)にはニューヨークのウォール街で起こった株価の大暴落(いわゆる“暗黒の木曜日”として知られるものですね)に端を発する世界恐慌に巻き込まれました。

昭和恐慌から90年以上も経ちますが、相場を取引する方々の間では暗黒の木曜日が起こった日である10月24日は縁起が悪い日としていまだに忌諱されているようです。負の記憶は、時代が変わっても連綿と受け継がれていくものなのですね…。

さて、与太話は終わらせて、本題へ。

前々回のコラムで「不況をチャンスととらえて事業や戦略の構築に挑むべき」というとことを書いたところ「具体的にどうすればいいんだ?」との質問を数名の方からいただきました。

今回は、例えばこういう方法がある、ということで例を挙げさせていただきます。中小企業、中堅企業の経営者やそこにかかわる会計士や税理士の方々(職業会計人の方々)の参考になればと思います。

続けさえすれば「残存者利益」が見える

まず、大前提として、会社を継続させることが大事です。特に50代、60代前半の社長さんは会社をとにかく続けることが大事です、何があっても。

世間ではこれからは「大廃業の時代」だといわれています。そもそも後継者不足の時代、さらには人手不足。また人口減少で需要減少、そこにコロナ不況がやってきたわけですから、明るい話題はないように見えますが、逆に言えば、「ライバルもいなくなる」ということです。

そう、続けさえすれば特別なことをしなくても周囲のライバルが倒れていき、生き残れる。つまり「残存者利益」が確保でき、「勝ち組」になれるかもしれない、ということです。

では、そのためのほんの少しの差別化のポイントを考えてみましょう。

事業や戦略を再構築する、といってもできることから始めていく、というのが中小企業にとっては現実的かと思います。そのための二つのポイントをご紹介します。